ファイナンシャル・プランナー 深沢泉
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住宅ローンの手続きは、金融機関の店舗で行う方法のほか、ネット銀行に代表されるインターネットによる手続きもあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットをみながら、どちらが賢いのか皆さんと考えてみたいと思います。

「店舗に来店」のメリットとデメリット

メリットは対面で担当者と話ができること

金融機関の店舗で手続きを行う際(以下「店舗に来店」)のメリットは、その金融機関で融資を受けることを検討する段階から、担当者に相談することによって、疑問を解消しながら手続きを進めることができる点です。申込書類を記入する際も、複雑で一人で行うのは不安だという場合も、対面でサポートしてくれる心強さがあります。銀行だと平日の日中に出向かなくてはならないイメージがありますが、土日祝日や平日の夜間に相談できる金融機関もあります。
また、一部の金融機関では、融資を受ける人の勤務先、購入物件・エリア、当該金融機関との取引条件によっては、交渉によって融資金利を引き下げることができる場合もあります。さらに、ATMの利用手数料や他行宛ての振込手数料が無料になるなど、その金融機関独自のサービスが受けられる場合もあります。このような案内をしてもらいやすいのは、担当者と直接話をすればこそです。金融機関の担当者によっては、住宅ローンそのものだけでなく、税金などの一般的な情報や金融商品全般の情報などが入手できるかもしれません。

デメリットは金融機関に出向く時間を作る必要があること

金融機関に実際に出向き、手続きを行うには、そのための時間を確保しなければなりません。最近では、事前審査をインターネットで行うことができる金融機関が増え、インターネットを活用できる環境がある人にとっては、徐々に負担が軽減されてきているものの、ローンの契約時など必ず出向かなくてはならない手続きもあり、特に土日しか休みが無い会社員の人にとっては意外にハードルが高いようです。

「ネットで手続き」のメリットとデメリット

では、ネット銀行などで見られる「ネットで手続き」は、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリットはいつでもどこでも手続きができること

インターネット上で手続きする方法(以下「ネットで手続き」)の特徴は、いつでもどこでも手続きができる点です。申し込み、審査、契約の局面で、ウェブサイトの画面に入力することで手続きが完結します。普段忙しい人も、インターネットの環境があれば、いつでもどこでも手続きができます。原則として全国対応なので、どのエリアに住んでいる人でも申し込みできるのも特徴です。
「ネットで手続き」の場合、金融機関の事務コストを軽減することができるので、一般的にその分住宅ローンの金利が低くなっています。また、保証料や繰上返済手数料などのコストも一般的に不要です。ただし、保証料を徴収しない代わりに、事務手数料が保証料並みの金額となっているケースがあるので注意しましょう。
また、「ネットで手続き」の金融機関の中には、通常の団体信用生命保険の保障内容に加えて、一定の疾患により所定の状態となったときにも、住宅ローンの返済が免除される保障が無料で付加されている商品もあります。

融資までの期間には余裕をもって

「ネットで手続き」といっても、ネット上で全て完結するわけではなく、融資の手続きに必要な書類は郵送しなくてはなりません。不備があれば、再度送り返すなどの手間が生じることもあります。また、金融機関によっては、司法書士との面談も必要です。さらに、融資にあたっての審査は、書面だけでの審査になるので、「店舗に来店」の方法と比較すると厳しい傾向にあります。このようなことから、事前審査から融資が実行されるまでの期間が、「店舗に来店」と比較して一般的に長くなる傾向にあるので、希望日までに間に合うかを確認するとともに、融資までの期間に余裕をもって対応する配慮が必要です。
「ネットで手続き」の場合、わからないことがあったときにはコールセンターなどに相談することになり、対面ではないため、若干不安に感じられるかもしれません。しかし、「ネットで手続き」の方法であっても、専属の担当者が付き、継続的に相談に応じてくれる金融機関もあります。

どちらが賢い?ワンポイントアドバイス

「店舗に来店」が向いているのはこんな人

住宅ローンを組むプロセスに不安を持っている人は、「店舗に来店」の方が適していると思われます。店舗型の銀行の住宅ローン金利は、ネット銀行と比べると若干高めの傾向にありますが、金融機関に相談しながら進めていきたいという人には、安心感があります。
また、勤務先や借入額などの借り入れの条件によっては、金利が引き下げられる金融機関もあります。自分について話しやすいのも「店舗に来店」ならではですので、交渉したいという人に向いています。住宅ローンの返済は長期にわたるので、わずかな返済額の差が大きな違いとなりますから、可能性があれば交渉したいところです。
住宅ローンを扱う金融機関は、預金、投資信託などの運用商品、教育ローンなど多様な金融商品を取り扱っています。今後、融資を受ける金融機関と相談しながら、幅広い金融商品をワンストップで活用したいという人にも適していると考えられます。

「ネットで手続き」が向いているのはこんな人

ネット銀行の住宅ローンは、保証料や繰上返済手数料が不要だったり、金利が低めであるという傾向にあります。したがって、コストをできるだけ抑えた効率的な商品を選びたいという人に適しています。また、自分でいろいろなシミュレーションをしたり、比較したりしてじっくり選びたいという人にも向いているといえます。
その半面、中古物件や一戸建ての土地先行融資などに対して審査が厳しい、または融資の対象外ということもありますので、あらかじめ融資してもらえる対象かどうかは確認が必要です。なお、一般的に「店舗に来店」と比較して審査に時間がかかりますので、契約から引き渡しまでの期間が短い場合には不向きです。

以下に「店舗に来店」と「ネットで手続き」の比較ポイントをまとめてみました。その内容は一般的なもので、実際は金融機関ごとに異なります。個別の商品内容を必ず確認してください。

「どちらが賢い?」という問いは、「どちらがよい?」という比較をすることではありません。「どちらが自分にとって適している?」ということについて正しい判断をすることであると思うのです。それぞれの特性を把握して、上手に活用しましょう。

 
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深沢泉

ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®

1962年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
生命保険会社を経て、現在株式会社ポラーノ・コンサルティング代表取締役。
企業の従業員・労働組合の組合員向けの相談業務・セミナーを通じた生活設計の支援、マネーに関する情報提供、ファイナンシャル・プランナーの養成・育成など、幅広い事業を行なっている。

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