ファイナンシャル・プランナー 中野敦成
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住宅ローンの残高を減らしたくなった時、借り換えは面倒なので繰り上げ返済しようという人も少なくありませんが、返済に使える金額や現在の収入状況、目的によってどちらを選択するかが異なります。どちらが有利になるか、ここでは判断基準の一つとなる手続きや条件にフォーカスして見てみましょう。

借り換えや繰り上げ返済の手続きにどれくらいの手間がかかるの?

借り換えはなぜ手続きが煩雑だと思われているのでしょうか。まずは借り換えと繰り上げ返済はそれぞれどのような手続きが必要になるのか知っておきましょう。

繰り上げ返済の手続き

繰り上げ返済をするには、店頭で手続きする、電話で申し込む、ネットで手続きするなど金融機関によって可能な方法が異なります。どの方法がとれるのかを確認しましょう。
希望の返済額や返済日を決め、書面で提出したり、Web上のフォームから入力して申し込みます。実際の返済額や返済日が決まったら、金融機関の指示に従い、返済額を振り込む、または返済口座に入金します。

借り換えの手続き

借り換えの手続きの流れは金融機関にもよりますが、次のようになります。概ね当初住宅ローンを借り入れした時と同様の手続きです。

1.借り換え先の住宅ローンを選び、審査をしてもらう
2.現在の住宅ローンの一括返済日を決め、返済額を確定する
3.借り換え先の金融機関で本申し込み、金銭消費貸借契約の締結などを行う
4.借り換え先の金融機関で融資が実行されたら、現在の住宅ローンを一括返済する

※実際の手続きの際には、借り換え先の金融機関からどのようにしたらよいかの案内がありますので、安心してください。

借り換えには、年収を証明するものや土地・建物の書類などを揃える必要もあり、手続きを比較すると、借り換えに比べて繰り上げ返済の方が簡単で、時間もかかりません。時間が無い人は繰り上げ返済の方に魅力を感じるでしょう。

金利タイプや返済期間の変更など、選択の自由度は?

住宅ローンの返済を始めて数年が経つと、今後の金利の動きが気になってきたり、家計の収支状況が変わってきたり、もしくは早めに返済を終わらせたいと思ったりなど、当初描いていた返済プランから変化が生じてきます。繰り上げ返済や借り換えは、このような変化に合わせる良い機会になります。それぞれがどのように対応できるか見てみましょう。

繰り上げ返済の場合

繰り上げ返済では、返済期間を短縮したり、毎回の返済額を少なくすることができます。たとえば、「返済期間を5年短縮したい」といった場合には、今後5年分の返済額のうち、元金部分の合計額を繰り上げ返済すればよいのです。

一方、今の住宅ローンの金利タイプを変更したいといった場合には、変動金利(半年型)から当初固定金利型への変更はいつでも可能ですが、全期間固定金利型や当初固定金利型の場合には、固定金利期間中に他の金利タイプへの変更はできない金融機関が多くなっています。

借り換えの場合

借り換えは、住宅購入時に住宅ローンを借り入れた時と同様に手続きや審査が必要ですが、新しく住宅ローンを選ぶ機会と考えることもできます。つまり、金融機関や金利、返済期間だけでなく、団体信用生命保険、付随サービスなども含めて自由に検討することができます。

住宅購入時は、引っ越しや家具家電の購入なども同時期に行うので、住宅ローン選びや保障について考える時間を割くことが出来なかった人もいるでしょう。金利タイプについてもよくわからずに選んだということはありませんか?数年経って住宅ローンの返済にも慣れてきた頃に、もう一度今後の返済プランを見直すことはとても有効です。

また、金融機関によっては返済期間を延ばすことも可能です。一般的には、借り換え後の返済期間は現在の住宅ローンの残年数が最長ですが、たとえば【フラット35】の場合、「35年—これまでの返済期間」となります。

返済期間や返済額の調整程度であれば、繰り上げ返済で対応できます。金利タイプも含めて大きく見直したい、保障を充実させたいといった場合には、借り換えの方が良いでしょう。見直しの目的に合わせて借り換えか繰り上げ返済かを選択しましょう。

借り換えと繰り上げ返済、手続き前にチェックしておきたいこと

実際に手続きをする際には、繰り上げ返済と借り換え、それぞれに規定や条件があるので、事前に確認が必要です。

繰り上げ返済のチェックポイント

金融機関によって繰り上げ返済できる金額が異なります。1円単位で返済が可能な金融機関もあれば、100万円以上、もしくは短縮期間が1ヶ月単位になるような金額という条件の金融機関もあります。ボーナス払いを併用している場合には、短縮期間が6ヶ月単位になるような金額が必要になることもあります。
最近では、多くの金融機関がネットでの繰り上げ返済は手数料無料としていますが、手数料がかかることもあります。手数料が高いと繰り上げ返済の効果が小さくなるので、まとまった金額になってから繰り上げ返済するなどの注意が必要です。

借り換えのチェックポイント

審査結果によっては借り換えが出来ない場合もあります。現在の年齢、年収、勤続年数、体況状態や物件の担保評価など現在の様々な条件により審査が行われるからです。まずは金融機関の担当者等に相談し、借り換えできそうかどうか確認しましょう。また、借り換えには手数料や登記費用などの諸費用が必要になりますので、金額を確認し、準備しておきましょう。
なお、審査から融資実行まで1~2ヶ月かかることがありますので、希望のタイミングがある場合には、あらかじめ伝えておきましょう。

借り換えか繰り上げ返済かを考えるのは返済計画を再考するチャンス

借り換えと繰り上げ返済の特徴をまとめると次のようになります。

  借り換え 繰り上げ返済
手続きの手間 ・借り換え先、現在の金融機関それぞれに手続きが必要 ・返済日、返済額を決めて入金する
金利タイプなどの
選択の自由度
・借り換え時に自由に選択可能
・期間や返済額は金融機関によって条件あり
・繰り上げ返済額に応じて、残期間や月々返済額などが変更される
・金利タイプの変更は別途手続きが必要で、変更できない場合もある
注意ポイント ・借り換え先の金融機関の審査結果によっては借り換えできないこともある ・返済単位が金融機関によって異なる

このように、繰り上げ返済、借り換えにはそれぞれに条件や特徴があります。
決済の期日が決まっている住宅購入時とは異なり、借り換えや繰り上げ返済はマイペースで検討することができます。総返済額の軽減だけを目的とせず、家計や将来のライフイベントなども考え、現在の住宅ローンや返済方法が合っているかを改めて考える機会にしましょう。

 

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中野敦成

ファイナンシャル・プランナー

2005年から独立FPとして、大阪で個人相談を中心に活動中。
年間300件以上のご相談を受ける傍ら、『あんしんして豊かに暮らす』をテーマにセミナーや執筆でも活躍中。

FP事務所LBプランニング

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