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ファイナンシャル・プランナー 金子千春
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年収600万円世帯では特別な事情がない限り、年収の面からは比較的金融機関の審査に通りやすいといえるでしょう。今回は、共働きの場合やボーナス返済の活用、という観点から年収600万円世帯の資金計画を考えてみます。
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年収600万円世帯の借入可能額と借入適正額は?

まず、年収600万円世帯の借入可能額を見てみましょう。
<条件>

35歳  年収600万円
返済期間35年 元利均等返済方式 ボーナス返済なし 他に借り入れはなし

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<借入金額100万円あたりの月返済額 元利均等返済方式>img_00094_2

まず、A銀行で借り入れをする場合には、返済比率“35%以内”なので、年間返済額を600万円×35%=210万円以内、月返済額を約17万5,000円に抑える必要があります。また、住宅ローンの借入可能額を計算する場合の金利は、実際に借り入れする際の金利0.98%ではなく、審査上の金利3.5%です。したがって、返済比率から見た借入可能額は以下のようになります。
17万5,000円÷4,132円×100万円=約4,230万円(10万円以下切捨)
一方で、【フラット35】で借り入れした場合は、適用金利が審査上の金利となりますので、借入可能額は以下のとおりとなります。
融資比率9割以下:17万5,000円÷2,869円×100万円=約6,090万円(10万円以下切捨)
融資比率9割超 :17万5,000円÷3,081円×100万円=約5,670万円(10万円以下切捨)

<金融機関から借り入れできる金額(借入可能額)>img_00094_3

借入可能額から見ると、年収600万円世帯では、かなりの金額を借り入れすることが可能ですが、一般的には、無理なく長期間返済を続けるには、返済比率を年収(税込)の“25%以内”に抑えておくことが理想です。では、年収600万円世帯の理想の返済比率から見た借入適正額はいくらでしょうか?

返済比率を25%以内に抑えるためには、年間返済額を600万円×25%=150万円、つまり月返済額を12万5,000円以下に抑えておくことが理想といえます。借入適正額は、実際に借り入れる際に適用される金利0.98%で考えます。
したがって、A銀行の場合には、
12万5,000円÷2,813円×100万円=約4,440万円(10万円以下切捨)
【フラット35】で借り入れした場合も同様に適用金利で借入可能額を計算するので、
 融資率9割以下:12万5,000円÷2,869円×100万円=約4,350万円(10万円以下切捨)
融資率9割超 :12万5,000円÷3,081円×100万円=約4,050万円(10万円以下切捨)
が理想の返済比率から見た借入適正額となります。

<借入金額100万円あたりの月返済額 元利均等返済方式>img_00094_4
<無理なく返済できる借入額(借入適正額)>img_00094_5

このように借入可能額と借入適正額とではかなりの差が出ることがわかります。「金融機関からいくら融資を受けられるか?」という観点からの借入可能額だけでなく、「無理なく長期間返済するための借入適正額」をしっかり把握して、借入金額、物件価格を考えることが大切といえますね。

 

共働き夫婦の合計した年収が600万円の場合にはどう変化する?

共働き世帯において収入合算で組む場合には、「合算者の年収全額まで」「本人の収入の2分の1まで」「合算者の収入の2分の1まで」といった制限がある場合があるため、金融機関によっても借り入れできる金額が変わることがあります。先ほどの例を用いてA銀行と【フラット35】での条件で違いを見てみましょう。

A銀行 ・・・ 収入合算者の年収の50%までの範囲で収入合算が可能
【フラット35】・・・収入合算者の年収の全額まで収入合算が可能

<共働きで年収600万円:夫年収400万円、妻年収200万円の場合の収入合算>img_00094_6

※A銀行では合算できる収入は100万円、【フラット35】では200万円。
※計算結果について、10万円未満は切り捨て。

<共働きで年収600万円 夫年収500万円 妻年収100万円 収入合算>img_00094_7

※A銀行では合算できる収入は50万円、【フラット35】では100万円。
※計算結果について、10万円未満は切り捨て。

【フラット35】では収入合算者の収入全額を合算できるため、収入合算(共働きで世帯収入が600万円)で組む場合と夫のみの収入(夫のみの収入で600万円)で組む場合とでは変化はありません。一方で、A銀行では収入合算金額に制限があるため、同じ年収600万円世帯であっても、借入金額が減ってしまうことがわかります。収入合算の要件もチェックをしておく必要がありますね。

なお、【フラット35】では、収入合算者の年収の50%超の金額を合算する場合最長返済期間は、80歳-「借入者本人または収入合算者のうち年齢が高い方の申込時の年齢(1年未満切り上げ)」となるので、場合によっては借入期間が短くなる点には注意が必要です。例えば、43歳1か月の夫と47歳2か月の妻が収入合算する場合、夫が単独で借り入れをする場合には、借入期間35年で組むことが可能ですが、妻の収入を全額合算すると、「80歳-48歳(妻の年齢)=32年」となり、35年で組むことができません。もし、35年間で組む場合には、妻の年収の半分までしか合算できないので、注意しましょう。

また、妻の収入金額次第では、夫婦が別々にローンを組むペアローンという選択肢も出てきます。ただし、ペアローンの場合には、1本を変動金利(半年型)、もう1本を固定金利型と金利タイプを分ける組み方ができるメリットがある反面、2本のローンを組むことになり、諸費用等が倍になるデメリットもあるので要注意です。
もちろん、共働きでも妻が契約社員やパート勤務の場合には、金融機関によっては収入合算やペアローンを利用できないケースもあるので、その点も確認しておきましょう。
なお、共働きで収入合算やペアローンで組む場合には、妻が働くのを辞めてしまうと、途端に返済が苦しくなるので、妻がいつまで働くのか?妻の収入がなくなった場合でも返済に問題がないか?という点もチェックすることを忘れずに!

 

過度にボーナス返済に頼った資金計画にはご用心!

次に、ボーナス返済はどの程度活用すると効果的か考えてみます。ボーナスは企業の業績によって大きく変わるケースもあります。特にボーナスの金額が多い場合には、ボーナス返済に頼って返済計画を立てがちになるので要注意です。
では、借入額に占めるボーナス返済の割合でどの程度返済額が変化するか見てみましょう。
金利はA銀行と【フラット35】のケースです。

<借入額に占めるボーナス返済の割合でどの程度毎月返済額が変わる?>img_00094_8

※借入金額3,000万円、返済期間35年、元利均等返済、諸費用などは考慮せず。
※A銀行については、当初固定金利期間20年の当初返済金額。

ボーナス割合が多くなるとボーナスへの依存度が高くなり、ボーナスが減った場合、当然その分を毎月の収入からまかなう必要が出てきます。一方で、ボーナス返済しないと、毎月の返済額の負担が重くなります。まず、勤務先のボーナスがどのように決まるのかを確認したうえで、1~2割程度ボーナスが減少しても返済可能な範囲でボーナス返済を併用するのが良いでしょう。できれば、ボーナス返済を活用する場合には、ボーナス返済の割合は多くても借入額の2割程度に抑えておきたいものですね。

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金子千春

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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