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ファイナンシャル・プランナー 金子千春
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シングル女性や共働きの妻が住宅ローンを組むことも近頃珍しくなくなってきました。しかしその中で、結婚したら?出産したら?病気になったら?など、女性ならではの心配事がたくさんあるのも事実です。女性が住宅ローンを組む際、数多くある住宅ローン商品の中から、どのような観点で自分に合った商品を選ぶべきか、ポイントを見ていきましょう。

そもそも女性向け住宅ローンとはどんなもの?

近年、働く女性の増加や住宅ローンを組む女性の増加、金利面での商品の差別化が難しくなったことなどから、「女性向け住宅ローン」を取り扱う金融機関が増えています。女性向け住宅ローンは、女性が借りやすくなっていたり、女性ならではの特典がついていたりするのが特徴ですが、その商品性は金融機関によってかなり異なります。各々の特徴をしっかり抑えて、自分に合った商品を選ぶことが大切です。
女性向け住宅ローンは以下のようなタイプに分類されます。

一般の住宅ローンよりも諸費用や金利を引き下げてくれるタイプ

同じ金融機関の一般の住宅ローンよりも、女性向け住宅ローンは金利を優遇しているものもありますし、出産後の育児休業中の金利を引き下げてくれるというものもあります。産休や育児休業を取得している場合の収入減は、住宅ローン返済にあたっての心配事の一つですので、嬉しいサービスといえます。このようなタイプの商品では、金利の優遇幅だけでなく、金利優遇のタイミングや優遇期間なども要チェックです。また、諸費用が安く抑えられれば、借り入れ当初の出費を減らすことも可能です。とにかく返済負担を抑えたいというのであれば、このようなタイプの商品が向いていますね。

また、金利優遇ではありませんが、出産・育児・介護休業時に最大1年間の元金据置ができる(借入期間中1回)サービスを付帯している金融機関もあります。(据置期間、利用回数は金融機関によって異なります。)元金据置期間中は、利息の支払いは生じますが、大幅に返済額を抑えることができるので、収入減となる休業期間中には非常に心強いサービスといえるでしょう。ただし、返済期間の延長はできません。結果、元金据置期間終了後は、返済額は再計算され、当初よりも増える点には要注意です。

女性ならではの特典が付けられているタイプ

特にシングル女性の場合は、自分がケガや病気で働けなくなった際、家計を助けてくれるパートナーがいませんので、直ちに返済が困難になる可能性があります。もちろん、住宅ローンを組む際には、堅実な返済計画を立て、無理のない返済額かどうかをしっかり見極めることも大切ですが、ケガや病気の際のリスクに備えておくことも大切です。ケガや病気で就業できなくなった場合に、住宅ローンの月々の返済をカバーしてくれる、ローン返済支援保険があります。保険料の負担なしで加入することができるタイプのものを選び、万が一のために備えておきましょう。

さらに、最近では、一般の住宅ローンに、子どもが病気になった際に親の代わりに迎えに行ってくれるサービスや家事代行サービスなどを付帯しているケースもあります。共働きで家事育児との両立が難しいと感じている方は、このような商品を活用すれば家事や育児の負担が軽減でき、仕事を継続することも可能になるかもしれません。

年収要件などが低く、借りやすいタイプ

一般の住宅ローンよりも、年収や雇用形態などの面で借り入れ要件のハードルを低くし、契約社員や派遣社員などでも借りやすいようにしているタイプのものもあります。ただし、商品によっては、金利が高くなってしまうものもありますし、将来に渡ってローン返済ができるのか?という点では慎重に考える必要があります。また、一般の住宅ローンで審査が通る場合には、かえって女性向けではない方が良いケースもありますので要注意ですね。

住宅ローンの金利タイプはどう考える?

まず、シングル女性の場合には、結婚、出産、退職、転職など、住宅購入後にライフプランが変化することが大いに考えられます。例えば結婚した場合には、ほとんどの場合はパートナーとの新居に移り、購入した住宅は売却する、あるいは賃貸することになるでしょう。売却価格よりもローン残高の方が多ければ、借金が残りますし、賃貸に出すとしても、いくらで貸せるかによって、毎月のキャッシュフローに赤字が出るかもしれません。
また、共働き世帯で住宅ローンを組んだ後に出産した場合には、仕事を思うように継続できず、当初の予定の収入が得られない、あるいは、子どもの成長に合わせて教育費の負担が増え、ローンの返済が家計の負担になる可能性もあります。

したがって、将来のローン返済が予想できる【フラット35】などの全期間固定金利型で組んでおく、変動金利(半年型)や当初固定金利型で組む場合には、当初から「何%になったら固定金利に切り替える」と決めておくとよいでしょう。また出産後の育児休業中は金利優遇が受けられるような商品や返済の猶予を受けられるような商品を選ぶ、当初から賃貸に出したとしても赤字にならないような返済金額でローンを組んでおくなどの工夫も必要ですね。

シングル女性がマンションを購入する際には、住宅ローン控除にもご用心!

住宅ローン控除を受けるためには、「床面積が50m²以上」という要件があり、シングル向けのワンルームマンションはその基準を下回る物件が多いのが現状です。マンションの販売図面では、床面積が住宅ローン控除の適否を判定する際に使われる「内法計算」ではなく、「壁芯(へきしん)計算」で表示されていることが多く、住宅ローンを組んだ後にローン控除が受けられなかったというケースもあります。もともと住宅ローン控除が適用されることを念頭にして組んだ場合には、住宅ローン控除が適用されるか否かで、その後のお金のやりくりは大きく変わりますので、しっかり確認をしておきたいものですね。

女性向け住宅ローンの特徴は金融機関によってさまざまです。「一般の住宅ローンでは審査が通りにくいので活用する」のか、「通常の住宅ローンよりも、金利面で優遇されている」からなのか、「保障やサービスに魅力がある」からなのか、自分にとってのメリットをはっきりさせることが最適な住宅ローンを選ぶ際の第一歩といえますね。

 

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金子千春

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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