ファイナンシャル・プランナー 高橋浩史
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住宅ローン選びでは、金利の低さから変動金利(半年型)を候補にする人も多く見られます。しかし、当初の返済額は少なくても、金利上昇により返済額が増える可能性についても考えておかなければなりません。今回は、変動金利(半年型)を選んでもいいのはどのような人なのかについて考えてみましょう。

変動金利(半年型)の特徴を押さえておこう

変動金利(半年型)とは、世の中の金利情勢によって金利が変動し、それに伴って返済額が増減する金利タイプです。変動金利(半年型)の仕組みの概要は次のとおりです。

世の中の金利情勢によって金利が変動する

変動金利(半年型)の金利は、通常年2回(例えば4月と10月など)見直され、その時点で金利が変動していた場合には、毎回の返済額の中の元金と利息の割合が変更されます。例えば金利が上がると利息の割合が増え、元金の割合が減る仕組みです。

5年ごとに返済額が見直される

金利が変動しても、返済額の見直しは5年ごとに行われます。また、返済額が増えた場合でも見直し後の上限は、ほとんどの金融機関では従前の返済額の1.25倍までというルールを設けており、急激に返済額が上がらないよう家計に配慮されています。例えば、5年間毎月8万円の返済だった場合、金利が大幅に上昇したとしても6年目からの毎月返済額の上限は10万円です。

未払利息が発生することも

5年間は返済額が変わらず、その後の返済額の見直しにも上限があることで、金利が大きく上昇した場合には元金返済がなかなか進まない、さらには支払い利息が返済額を上回る「未払利息」が発生する可能性もあります。未払利息が生じ、最終返済日まで元金や未払利息が残ってしまった場合には、一括返済しなくてはなりません。

返済負担が増えた時でも返済余力はあるか?

変動金利(半年型)には上記のような金利変動のリスクがあるため、金利が上昇した時のことを予想した返済額の試算が必要です。一例として、変動金利(半年型)の金利がまったく変わらない場合と、金利が上昇した場合の毎月返済額や総返済額の違いを見てみましょう。

<前提条件>

借入額:3,500万円 金利:0.775%(適用金利)
返済期間:35年
元利均等返済・ボーナス払いなし

  金利が上昇しなかった場合 5年毎に0.5%金利が上昇した場合
毎月返済額 95,172円 ・1~5年目:95,172円
・6~10年目:102,207円
・11~15年目:108,383円
・16~20年目:113,572円
・21年目以降:117,650円
総返済額 約3,997万円
(内利息額:約497万円)
約4,634万円
(内利息額:約1,134万円)

上記の例では、仮に金利が5年毎に0.5%上昇した場合、21年目以降の毎月の返済額は返済開始時よりも毎月返済額は約2万2千円増えています。総返済額は金利が上昇しなかった場合よりも約640万円多くなります。
しかし、毎回の返済額が増えても問題なく支払うことができる、預貯金で繰上返済し総返済額を抑えることができる、という人であれば、金利が上昇した場合にも対応できます。このように考えると、変動金利(半年型)に向いている人は、ズバリ「返済額が増えても家計の中で吸収できる“返済余力”がある人」ということができます。

変動金利(半年型)を借りてもよい4つのケース

返済余力がある人とは、具体的にはどのような人でしょうか?また、それ以外にも変動金利(半年型)で借りてもよいといえるケースを考えてみましょう。

1.「共働きで定年まで安定収入がある」

夫婦で定年まで働くことが確実な場合や、数年後には妻が正社員に復帰するなど、将来にわたって比較的多めの世帯収入が見込めれば、貯蓄も確実に増えていくと考えられ、返済余力は高いといえるでしょう。返済額が上がった場合でも、預貯金で繰上返済をすることで完済時期を短縮、あるいは返済額を軽減できれば、金利が上昇したときの影響を抑えることができます。

2.「教育費の支払いが終わって支出が減った」

子供が大学を卒業するなど子育てが終われば、教育費の支払いもなくなり、家計の支出は減ります。子供の独立後も大きく収入が変わらなければ、相対的に返済余力は高くなっていると考えられます。このような時期に住宅を購入する場合や、借り換えで変動金利(半年型)を検討している場合には、支出が減った分を貯蓄しておけば、金利が上昇したときにも対応できます。

3.「借入金額が少ない、返済期間が短い」

借入金額が多い場合や返済期間が長い場合は、金利が上昇したときに返済額の増え方が大きくなります。一方、借入金額が少ない場合や返済期間が短い場合には、金利が大きく上昇しても返済額自体はあまり変わらないということもあります。この場合も一定の返済余力は必要ですが、リスクは比較的小さいと考えられます。

4.「金利の動向を自分自身で観察できる」

常日頃、世の中の経済状況や金利の動向にアンテナを張り巡らせている人なら、金利が上昇する前に行動を起こすことができます。金利タイプの見直しや借り換えをタイミングよく行うことができるでしょう。金利動向を見ながら自分で判断し、柔軟に住宅ローンのメンテナンスをできる人は、変動金利(半年型)を検討してもいいでしょう。

返済余力があるというのは、住宅ローンを返済しながらも貯蓄ができる余裕がある人、ということになります。ただし、今その余力があっても将来は厳しいと予想されるのであれば、あらかじめ十分な準備(=貯蓄)が必要になります。今後の働き方や家族のライフイベントを含め、家計の収支はどのように変わっていくのかを予想しながら、変動金利(半年型)を選んでも大丈夫かどうかを検討しましょう。

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高橋浩史

ファイナンシャル・プランナー/FPライフレックス代表

20代の頃、勧められるままに入った生命保険と住宅ローン選びで失敗し、家計は毎月赤字に。その後FP資格の学習と並行して、自ら保険の見直しと住宅ローンの借り換えを実現し、年間100万円を貯蓄できる家計に改善。現在は「家計の赤字V字回復アドバイザー」として活動中。

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