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ファイナンシャル・プランナー 中村宏
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住宅ローンは一般的に、建物が完成したのちに融資されますが、土地を先行取得したり一戸建てを新築したりする場合は、建物の完成前に、土地代、着工金、中間金を支払うための資金を工面しなければならない時があります。今回は、その時に活用される「つなぎ融資」の仕組みと注意点をご紹介しましょう。

一戸建てを建築するときは「つなぎ融資」が必要になる!?

一般的に住宅ローンは、住宅が購入者に引き渡される時にのみ融資されます。そのため、すでに建物が完成しているマンションや建売住宅を取得する場合、融資は引き渡し時の1回だけなので、住宅ローンを借りれば事足りるでしょう。

しかし一戸建てを建築する場合は、建物の着工時に「着工金」、上棟時に「中間金」、そして引き渡し時に「残金」を建築会社や工務店に支払うのが一般的です。また、土地を先行取得する場合には、建物の着工前に、「土地代や土地購入に伴う諸費用」を支払う必要があります。つまり、一戸建てを建築する場合は、建物が完成するまでに、かなりまとまったお金を何度かに分けて支払うケースが多いのです。

これらのお金をすべて自己資金で賄える場合は、マンションや建売住宅と同じように、引き渡し時に住宅ローンを借りるだけでいいのですが、自己資金で賄えない場合は「つなぎ融資」を活用する必要があります。
「つなぎ融資」は、正式に住宅ローンを借りるまでに支払わなければならないお金を、つなぎで借りるものです。そして、建物が引き渡される時に借り入れる住宅ローンで精算します。

なお、一部の金融機関では一定の条件のもと、土地代、着工金、中間金等の融資に住宅ローンが活用できるところもあります。

<つなぎ融資のイメージ>

事例:一戸建注文住宅の取得(土地先行取得)
・土地代金:2,000万円
・建築費 :2,000万円
内訳 着工金:600万円
中間金:600万円
残金 :800万円

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  • ※実際には、土地代金、建物建築代金の一部、または全部に自己資金が活用されます。
    ※つなぎ融資の返済時に利息も払われます。
    ※金融機関によって条件が異なります。

<つなぎ融資による利息計算(事例)>

  つなぎ融資
借入金額
住宅ローンによる
精算までの期間
精算時に払う利息額
土地取得時 2,000万円 9ヶ月(270日) 2,000万円×3.475%×270/365
=約51万円
建物着工時 600万円 6ヶ月(180日) 600万円×3.475%×180/365
=約10万円
建物上棟時 600万円 3ヶ月(90日) 600万円×3.475%×90/365
=約5万円
建物引き渡し時 住宅ローンによる精算 利息合計:約66万円

※つなぎ融資金利:年率3.475%の場合

上の表の例でみると、建物の引き渡し時に、つなぎ融資による借入金額の合計(3,200万円)と利息額(約66万円)は、住宅ローンによって精算することになります。なお、つなぎ融資はその他に、諸費用として事務手数料と契約時の印紙代がかかります。

まずは「つなぎ融資」を取り扱っている金融機関を探す!

「つなぎ融資」は、どの金融機関でも取り扱っているわけではないことに注意が必要です。その金融機関の住宅ローンがいかに魅力的な金利やコストであっても、「つなぎ融資」に対応していない金融機関から、その住宅ローンを借りることはできません。そのため、順番としては、まず「つなぎ融資」に対応している金融機関を探す必要があります。ただ、金融機関のホームページなどには「つなぎ融資」の情報があまりオープンになっていない場合もあります。したがって、工務店やハウスメーカーに問い合わせて「つなぎ融資」が活用できる金融機関を紹介してもらうのが現実的な対応になるでしょう。

なお、全期間固定金利の住宅ローンである【フラット35】を取り扱っている金融機関の中には、「つなぎ融資」が活用できることを積極的に告知しているところが比較的たくさんあります。ただし、融資条件などは金融機関によって異なりますので、各金融機関で確認しましょう。

一戸建てを建築する場合は、資金計画をしっかり立てる!

一戸建てを建築する場合は、「どのタイミングで、いくらかかるか?」をあらかじめ細かく見積もってプランニングしておくことが大切です。なお、土地の先行取得に「つなぎ融資」を活用する場合、「1年以内に建物が完成する予定であること」や「つなぎ融資の契約面談時までに建築請負契約書を提出すること」などの条件が付くため、土地購入と並行して大急ぎで建築計画を進める必要があります。
資金計画を立てるために、不動産会社や工務店・建築会社に依頼して、諸費用を含め、項目別の支払い時期と金額を見積もってもらいましょう。着工金や中間金の有無や金額は工務店・建築会社によって異なるため、交渉することもできます。
「どのタイミングで、いくらかかるか?」が明確になったあとは、項目別に「自己資金で払うか、つなぎ融資で払うか?」を決めましょう。プランを具体化する中で、「どのタイミングで、つなぎ融資をいくら借りる必要があるか?」がはっきりするはずです。

「つなぎ融資」は住宅ローンよりも金利が高く、事務手数料などのコストも住宅ローンとは別にかかります。そのため、できるだけ「つなぎ融資」は利用せずに自己資金でカバーしたいものです。しかし、建物の引き渡し後にも引っ越し代、家具や家電の購入費、外構や庭の整備費用などがかかることを考えると、自己資金を土地や着工金、中間金で使い過ぎないよう工夫することも大切です。

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中村宏

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
暮らしのお金に関するお役立ち情報として、無料のメールマガジン「生活マネー ミニ講座」(平日:毎日)を配信中。

FPオフィス ワーク・ワークス代表

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