ファイナンシャル・プランナー 中村宏
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住宅ローンの返済中に、別の条件の住宅ローンに切り替える「借り換え」。金利差だけに注目するのではなく、さまざまな種類の借り換えコストにも注意を払う必要があります。また、将来の金利動向によっては、変動金利から固定金利への借り換えを検討してもいいかもしれません。

史上最低水準の金利が続く中「借り換え」をする?!

2014年10月末に日本銀行が追加の金融緩和策を公表し、マーケットには金利低下圧力がかかっています。住宅ローンを返済中で、金利の動向に敏感な方の中には、「今が借り換えをするチャンスかも?」と考えている方も多いのではないでしょうか。
多くの場合「借り換え」は、金利の高いローンを低いローンに切り替えて、今後支払う利息額を削減する目的で行いますが、「借り換え」をするときにはいくつかの注意点があります。

事前にしっかりとシミュレーションで効果を確認してから借り換える

住宅ローンの借り換えを行う際の判断の目安は、次の3つの条件が揃っている場合だと一般的に言われています。

・金利差が1%以上あること
・ローン残高が1,000万円以上あること
・残りの返済期間が10年以上あること

しかし、この条件にあてはまっていないからと簡単に借り換えを断念しないようにしましょう。コストを含めてシミュレーションをすると、効果が期待できる場合もあります。まずは、借り換えをする場合としない場合を具体的に金額で確認して判断した方がいいでしょう。

比較するのは、次のAとBの金額です。

A
(借り換えをしない)
B
(借り換えをする)
・借り換えをしない場合の今後の総返済額(元金+利息) ・借り換えをする場合の今後の総返済額(元金+利息)
・事務手数料
・収入印紙代
・登録免許税(抵当権の抹消・設定)
・登記費用(抵当権の抹消・設定に伴う司法書士費用)
・保証料(借り換え後の住宅ローン)
・戻ってくる保証料(借り換え前の住宅ローン)
・団体信用生命保険特約料
・繰上返済手数料(借り換え前の住宅ローン)等※金融機関によってはかからないコストもあり

AとBの金額を比較し、A>Bの場合は、借り換えの効果が期待できます。逆に、A<Bの場合、借り換えの効果はありません。金利だけでなく、「借り換え後の住宅ローンの返済期間を短くする」、「元利均等返済方式から元金均等返済方式に、返済方式を変更する」、「保証料などのコストがかからない金融機関を選ぶ」など、Bの金額を少なくする工夫もできるため、借り換え予定の住宅ローンは、条件をさまざまに変更して比較してみるといいでしょう。

最近では、いろんな金融機関がサイトに「借り換えシミュレーション」の機能を持たせ、借り換え前と借り換え後の金額比較ができるようにしているので、使ってみてはいかがでしょうか。また、金融機関の窓口に足を運んで、具体的な説明を受けながら借り換え前と後の効果を確認したり、手続きの方法や手順のアドバイスを受けるとメリット・デメリットが理解しやすいでしょう。

金利の低い今だからこそ、変動金利(半年型)や当初固定金利型から全期間固定金利型へ切り替える!?

住宅ローンの金利タイプには、おもに変動金利(半年型)と当初固定金利型、全期固定金利型の3種類があります。金利は、一般的に変動金利(半年型)が最も低く、当初固定金利型は、金利の固定期間が長くなればなるほど高くなります。そして、全期間固定金利型は3種類の中で最も高く設定されます。
ただその代わりに、変動金利(半年型)は、市場金利の動向次第では金利が上昇する「金利上昇リスク」があります。また、当初固定金利型は、固定金利の期間中は金利上昇リスクがないものの、その後は市場金利に応じて返済額が変わります。一方で全期間固定金利型は、返済期間中ずっと金利上昇リスクにさらされることはありません。

現在、市場金利が史上最低水準を示している中で、多くの金融機関は変動金利(半年型)の適用金利を1%未満に設定しています。そのため、固定金利で住宅ローンを返済中の方や、1%を上回る変動金利(半年型)で返済中の方の中には、この機会に1%未満の変動金利(半年型)に借り換えて、支払い利息を軽減しようと考えている方がいるかもしれません。あるいは、現在よりも金利が低い当初固定金利型に切り替えることを検討している方がいるかもしれません。
ただ、現時点での適用金利がいくら低くても、変動金利(半年型)は、将来市場金利が上がれば、返済額もアップします。当初固定金利型も、金利固定期間終了後に金利が上昇していれば、ローン残高が多く残っている方にとっては家計への負担が大きくなってしまいます。 この「金利上昇リスク」があることを常に忘れないようにしておく必要があります。
一方で、これから何年も続く住宅ローンの返済期間中には金利が上がる可能性が高いので、市場金利が低い今だからこそ、変動金利(半年型)や当初固定金利型から全期間固定金利型に切り替えて、金利上昇リスクをなくしておこうという考え方もあります。
変動金利(半年型)で返済中の人の中には、「市場金利が上昇する兆しが見えてきたら、機敏に判断して固定金利型に切り替えればいい」と考えている方もいるでしょう。しかし、金利が上がるときには、変動金利よりも先に固定金利が上がる傾向があるため、なかなか思い通りに切り替えることはできません。
借り換えの判断は、現時点の金利水準だけでなく、将来の動向にも注意を払って行う必要があります。

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中村宏

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
暮らしのお金に関するお役立ち情報として、無料のメールマガジン「生活マネー ミニ講座」(平日:毎日)を配信中。

FPオフィス ワーク・ワークス代表

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